困ってなかったけど第一種電気工事士を取ったら、職場の空気が変わった

資格

第一種電気工事士を取ったのは、28歳くらいのときでした。まだ職人として現場に出ていた頃です。免状の交付が平成28年5月なので、今から10年近く前になります。

正直に書きますが、仕事で困っていたわけではありませんでした。

第二種は工業高校で取っていたので、日常の作業で不便を感じることはなかった。「これがないと仕事にならない」という切羽詰まった状況ではなかったんです。

第二種を取ったときの話は、こちらに書いています。

第二種電気工事士は不器用でも合格できる|技能試験のコツを工業高校卒が解説
私はいま、電気の資格を5つ持っています。第二種電気工事士、第一種電気工事士、2級電気施工管理技士、1級電気施工管理技士、そして監理技術者。その後、現場代理人を10年やって、今は独立しています。そのすべての出発点が、高校生のときに取った第二種…

じゃあなぜ取ったのか。その話から始めます。


会社の看板になれたら、と思った

当時、職場には第一種を持っていない先輩が何人かいました。長く現場をやってきた人たちです。

そういう環境の中で、私は「会社として、第一種を持っている人間が多いほうが信頼されるだろう」と考えていました。実際、そういう話も社内で聞いていました。

電気工事の会社にとって、有資格者が何人いるかというのは、対外的な信用に直結します。特に第一種は、高圧を扱える資格なので、持っている人数がそのまま会社の対応力を示すことになる。

だから、誰に言われたわけでもなく、自分から受けることにしました。

会社の指示ではありません。「取れ」と言われた記憶はないです。ただ、自分がひとつ取れば、会社の看板が少し強くなる。それくらいの気持ちでした。


第二種との違いは、思ったより小さい

これから受ける人に向けて、先に正直なことを書いておきます。

第一種は、第二種と比べて劇的に難しくなるわけではありません。

私が受けた実感として、出題の形式も、勉強の進め方も、第二種の延長線上にありました。「まったく別の試験を受ける」という感覚はなかったです。

唯一大きく違うのが、高圧側の知識が必要になること。ここが第二種にはない範囲です。

逆に言うと、違いはそこがメインでした。第二種を通ってきた人なら、土台はもうできています。ゼロから始める試験ではありません。

「第一種は難しそうだから」と身構えている人がいたら、そこまで構えなくていいと思います。


朝に全部持っていくスタイルにした

勉強は、朝4時に起きて、仕事に行く前の1〜2時間でやっていました。

こう書くと「そんなの無理だ」と思われそうなので、補足させてください。

私はもともと早起きが得意なんです。 朝に活動するのが苦にならないタイプ。だから朝を選んだだけで、根性で叩き起きていたわけではありません。

そして、夜がダメだった理由もはっきりしています。現場仕事のあとは疲れていて、集中できない。机に向かっても頭が動かない。だったら、頭が動く時間に全部持っていったほうが効率がいい。それだけの話です。

だから、これを読んでいる人が夜型なら、夜にやればいいと思います。大事なのは4時に起きることじゃなくて、自分がいちばん集中できる時間帯を勉強に充てることです。私の場合はそれが朝だった、というだけなので。

時間としても、1〜2時間です。夜に同じだけやる人と、総量は変わりません。


やったことは、過去問の繰り返し

筆記の勉強法は、シンプルに過去問を繰り返すだけでした。

特別な教材を使ったわけでも、講習に通ったわけでもありません。過去問を解いて、間違えたところを確認して、また解く。それを毎朝続けました。

結果として、試験当日には過去問の内容がだいたい頭に入っている状態になっていました。

これは「全部暗記しよう」と目標を立てたわけではなくて、繰り返しているうちに覚えてしまったという順番です。回数を重ねると、自然とそうなります。

だから、暗記が得意じゃないから無理だ、と思わなくて大丈夫です。私も特別に記憶力がいいわけではありません。繰り返した回数の話です。


技能試験は、家に持ち帰って練習した

技能試験(実技)は、工具と材料を家に持ち帰って練習しました。

私の場合、工具は職人として使っていたものが一通り揃っていたので、新しく買う必要はありませんでした。材料は、上司に相談して会社で用意してもらいました。

ここは環境に恵まれていたと思います。現場の人間なら同じようにできるかもしれませんが、そうでない場合は練習用のセットを買うことになるはずです。

やったことは、過去に出題された複線図を、全部できるようにしておくこと。

これも「全部」と書くと大変そうですが、パターンは決まっています。ひとつずつ潰していけば終わります。逆に言えば、ここを潰しておけば当日に慌てることはありません。

結果として、一発で合格できました。


嬉しかったのは、期待に応えられたこと

合格がわかったときは、素直に嬉しかったです。

ただ、いちばん嬉しかったのは「自分が受かった」ことよりも、上司や社長が応援してくれていたので、その期待に応えられたことでした。

黙って受けたわけではなくて、会社の人たちは私が勉強していることを知っていて、気にかけてくれていた。だから合格を報告できたのが、何より良かったです。


変わったこと。そして、周りが動いたこと

第一種を取って、実際に変わったことを正直に書きます。

まず、資格手当が少し増えました。 給料が少し上がった、という程度です。劇的に変わったわけではありません。

会社の評価も上がりました。先輩たちがまだ持っていない資格を、若いうちに取ったということで、いい風が吹いた感覚はありました。

ただ、いちばん予想していなかったのはこれです。

第一種を持っていなかった先輩たちが、試験を受け始めました。

長いあいだ、試験にすら行っていなかった人たちです。それが、動き出した。

私が何か言ったわけではありません。ただ、後輩が取ったという事実が、そういう空気を作ったんだと思います。

自分ひとりの資格のつもりだったのが、結果的に職場全体を少し動かすことになった。これは取る前には想像していませんでした。


この時期に、まとめて取っていた

時系列の話をすると、実はこの前後で2級電気工事施工管理技士も取っています。

正直、どちらが先だったか記憶が曖昧なのですが、2級施工管理を取って、その流れで第一種を取った、という順番だったはずです。

要するに、この時期にまとめて資格を取りにいっていました。ひとつ受かると次も、という流れができていたんだと思います。

なお第一種は、試験に合格しただけでは免状が出ません。実務経験の年数が必要です。私の場合はすでに現場に出ていたので、年数の条件はクリアしていました。

これから受ける人は、合格後に実務経験証明の手続きがあることを頭に入れておいてください。


資格はゴールじゃない

最後に、これから第一種を目指す人に伝えたいことを書きます。

電気工事士として、第一種より上の資格はありません。

これを取っておけば、電気工事士としての資格で困ることはないはずです。そういう意味では、目指す価値は十分あります。

ただ、取ったから終わりではないです。

資格はあくまで「やっていい」という許可であって、腕があることの証明ではありません。第一種を持っていても、現場で手が動かなければ意味がない。

あとは現場で腕を磨いていくだけです。

私自身、資格を取った時点では、まだまだ何もできていませんでした。そこからが本番でした。

ちなみに私は、この後さらに1級電気工事施工管理技士まで取っています。電気工事士と施工管理は別系統の資格ですが、現場で長くやっていくなら、いずれ次に見えてくる道だと思います。

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もし今、第一種を取ろうか迷っている人がいるなら。困っていないなら取らない、という判断も別に間違いではないと思います。私も困ってはいませんでしたから。

ただ、取ってみたら、思っていなかったことが起きました。手当が増えたことよりも、周りが動いたことのほうが、今振り返ると大きかった気がします。

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