私はいま、電気の資格を5つ持っています。第二種電気工事士、第一種電気工事士、2級電気施工管理技士、1級電気施工管理技士、そして監理技術者。その後、現場代理人を10年やって、今は独立しています。
そのすべての出発点が、高校生のときに取った第二種電気工事士でした。
工業高校の電気科に通っていて、高校2年生のときに取りました。今日はそのときの話を書きます。これから電気科を目指す人、あるいは独学で第二種を取ろうとしている人の、参考になればと思います。
先に言っておくと、私は手先が器用なほうではありません。それでも受かりました。だから「不器用だから無理かも」と思っている人にこそ、読んでほしいです。
電気科では、みんなが受ける資格でした
第二種電気工事士は、電気科の授業の中に組み込まれていました。希望者だけでなく、電気科の生徒は全員が受ける、という感じです。
一生使える国家資格だと、当時先生から教わりました。これを持っていれば就職でも有利になる、と。高校生ながら、それは取っておいたほうがいいなと素直に思ったのを覚えています。
実際、この認識は正しかったんですが、それは後の話です。
意外かもしれませんが、苦労したのは筆記でした
第二種の試験は、筆記(学科)と技能(実技)の2つに分かれています。
「技能のほうが大変そう」と思う人が多いと思います。でも私が本当に苦労したのは、筆記のほうでした。
何に苦労したかというと、用語と、実物のイメージが結びつかないことです。
「リングスリーブ」「ランプレセプタクル」といった言葉が出てきても、それが実際にどんな形の、何をするものなのか、頭の中でイメージできない。言葉だけを丸暗記しようとしても、まったく頭に入ってきませんでした。
しかも、私が高校生だった頃は、まだインターネットで簡単に調べられる時代ではありませんでした。工業高校とはいえ、実物の器具がそんなに豊富にあるわけでもない。
だから、教科書や参考書の写真を見て、少しずつ用語と実物を結びつけていくしかありませんでした。ここが、正直いちばん地道で大変だったところです。
技能試験は、最初は遅かった
一方の技能試験。これは、最初はもちろん遅かったです。
決められた時間内に、配線図の通りに器具を組み立てるんですが、最初は手が全然追いつかない。
でも、コツをつかむと、だんだん速くなっていきました。
たとえば、決められた寸法にケーブルや線を切るとき。毎回メジャーで測っていたら、それだけで時間を取られます。でも、自分が使う工具それぞれの長さを覚えてしまえば、工具を定規代わりにして、いちいち測らなくても感覚で寸法が出せるようになります。こういう小さなコツの積み重ねで、作業がどんどん速くなっていきました。
最終的には、技能の作業スピードはクラスで一番になっていました。
繰り返しますが、私は手先が器用なタイプではありません。感覚としては、プラモデルを作るのに似ていると思います。最初は説明書とにらめっこして時間がかかるけど、慣れれば手が勝手に動くようになる。あの感覚です。
だから、器用さは、そこまで関係ありません。大事なのは、コツを覚えることと、それを手が覚えるまで繰り返すこと。それだけです。
独学で目指す人は、今、恵まれていると思います
ここまで読んで、気づいた人もいるかもしれません。
私が苦労したのは、結局「実物に触れて、手を動かして覚える機会が足りなかった」ことでした。用語は写真で覚えるしかなかったし、技能の練習も、限られた環境の中でやっていました。
その点、今から独学で第二種を目指す人は、私の頃よりずっと恵まれていると思います。
まず、インターネットがあります。分からない用語を検索すれば、写真も動画もすぐ出てくる。今ならAIに聞けば、器具の役割から試験のコツまで、その場で教えてくれる。私が参考書の写真とにらめっこしていたことが、今は一瞬で解決できます。これは本当にうらやましい。
そしてもう一つ。技能試験のために、工具と練習用の材料が一式そろったセットが、今は手に入ります。
私は高校の限られた環境で練習しましたが、独学の人が同じように手を動かして練習するには、まず工具と材料を自分で揃えないといけません。ここが独学の一番のハードルだと思います。それを一式まとめてくれるセットがあるのは、大きいです。
技能は、結局のところ「何回手を動かしたか」で決まります。私がクラスで一番速くなれたのも、才能ではなく、繰り返し練習したからです。その練習環境を、独学でも作れるようになっている。いい時代だと思います。
この一枚が、すべての出発点になりました
第二種を取って、その後どうだったか。
就職では、はっきり有利になりました。そして就職してからも、しばらくは社内で第二種を持っているのは自分だけという状況でした。
同僚たちは、これから第二種を勉強して取りに行かなければいけない。でも自分は、その時間をまるまる別のことに使える。この差は、地味なようで、実は大きかったです。高校生のうちに取っておいて本当によかった、と何度も思いました。
そして何より——この第二種が、その後の第一種電気工事士、施工管理技士、そして現場代理人へと続く、すべての出発点になりました。
最初の一枚があると、次が見えてきます。第二種を取った経験があるからこそ、「次は第一種。第二種と何が違うんだろう」という具体的な目標を持てました。一段ずつ、階段を上がっていく感覚です。
これから取る人へ
第二種電気工事士は、電気の世界の入口です。
手先が器用じゃなくても大丈夫。私がそうでした。大事なのは、用語と実物を結びつけること、そして技能はコツをつかむまで手を動かすこと。それだけです。
そして今は、ネットもAIも、練習用のセットもある。私の頃よりずっと、独学のハードルは下がっています。
もし電気科を目指している中学生や、その親御さんがこれを読んでいるなら——高校で第二種を取れる環境は、かなり恵まれています。ぜひ、その一枚目を取ってほしいと思います。
そして、第二種を取った人へ。次は第一種です。第二種と第一種がどう違うのかは、また別の記事に書きます。
関連記事:電気工事士の先には、施工管理技士という道もあります。1級電気施工管理技士を取ったときの話は、こちらの記事に書いています。
※この記事は、私自身が工業高校で第二種電気工事士を取得したときの経験をもとに書いています。試験制度や出題内容は変わることがあるため、受験の詳細は必ず公式の試験情報をご確認ください。


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