1級電気工事施工管理技士を取ったのは、32歳のときでした。しかも、筆記試験は完全に独学です。
この記事では、私が実際に独学で合格した勉強法と、多くの人がつまずく経験記述をどう乗り越えたかを、正直に書いていきます。
当時いた会社では、その年齢で1級を持っている人はいませんでした。それもあってチャレンジしてみようと思ったのが、最初のきっかけです。
もうひとつ理由がありました。1級電気工事施工管理技士の在籍人数によって、大型工事の入札に影響するという話を聞いたんです。会社のためになるなら、と。
結果として一発で受かったんですが、振り返って思うのは、筆記と実地はまったく別物だったということです。
筆記は完全に独学でいけました。でも実地の経験記述だけは、正直、自分ひとりでは無理でした。
同じように働きながら目指している人に向けて、そのあたりを具体的に書いてみます。
筆記試験は、独学で絶対に突破できます
まず筆記から。これは断言できます。独学で受かります。
理由は単純で、業界に長くいると、試験の内容が実際の現場と重なる部分がかなりあるからです。まったくのゼロから暗記する試験ではありません。現場で見てきたこと、やってきたことが、そのまま知識として乗ってきます。
私がやったのは、ひたすら過去問を回すことでした。
平成20年あたりから直近まで、10年分以上の過去問をリピートしました。新しい参考書をあれこれ買うより、これが一番効いたと思っています。
過去問を回すときにやった工夫
ただ、漫然と解いていたわけではありません。ひとつだけ工夫していたことがあります。
エクセルで回答シートを作りました。
自分の回答と正解を並べて比較できるようにして、毎回きちんと採点する。そうすると、どの分野が自分の弱点なのかが、数字ではっきり見えてきます。
過去問をただ解くだけだと、「なんとなくできた気になる」んですよね。でも採点して記録すると、苦手な分野が容赦なく浮かび上がってくる。そこを重点的に潰していけばいいので、勉強効率が全然違いました。
エクセルが得意でなくても、ノートに正答率をメモするだけでも十分だと思います。大事なのは、自分の弱点を可視化することです。
働きながらの勉強時間の作り方
勉強時間は、こんな感じで確保していました。
- 朝4時起き → 2時間ほど筆記の勉強
- 仕事から帰宅後 → 1時間ほど勉強
私は朝が強いタイプなので、比重は完全に朝に置きました。現場から帰ってきた後は疲れているので、正直そこまで頭が回りません。だったら、頭がクリアな朝に持ってきたほうが効率がいい。
これは人によると思います。夜型の人なら逆でいいはずです。ただ、現場仕事をしながらだと、帰宅後だけで勉強時間を確保するのはかなりきついというのは、実感としてあります。どこかで朝の時間を使うことになると思います。
問題は実地試験。経験記述の壁
さて、ここからが本題です。
筆記は独学でいけました。でも実地の経験記述だけは、独学では突破できませんでした。
誤解のないように言っておくと、ネタがなかったわけではありません。
「どの工事を題材に書くか」で悩むことはありませんでした。現場代理人として実際にやってきた工事はいくつもありましたし、書ける経験は持っていました。
試験の型やルールに合わせるのも、そこまで難しくはなかったです。過去問を見ればある程度のパターンは決まっているので、どのテーマで来ても対応できるように準備していきました。
じゃあ何が難しかったのか。
経験記述の正体は「言語化」の問題です
自分がやってきたことを、採点者に伝わる文章にすることができなかったんです。
これに尽きます。
現場でやっていることは、自分では完全に分かっている。手順も、なぜそうしたのかも、どんな課題があってどう対処したのかも、全部頭の中にある。
でも、それを文章にすると、なぜか伝わらない。自分では書けたつもりでも、他人が読んだら意味が分からない。
私は正直、言語化がうまいほうではありませんでした。現場のことは説明できても、それを文字にして、読んだ人に理解してもらう文章にするのは、まったく別のスキルだったんです。
経験記述で詰まる人の多くは、知識不足でも経験不足でもなく、ここだと思います。
私がやったのは「第三者に読んでもらうこと」
どう突破したか。
私は、所属していた組合の講座を3〜4日ほど受けました。そこでやったのは、シンプルに言うとこういうことです。
- 過去問を題材にして、自分が経験した工事を好きなように書く
- それを第三者に読んでもらう
- 客観的な視点で、整理・整形してもらう
これだけです。でも、これが決定的でした。
自分ひとりで唸っていた文章が、人に読んでもらって手を入れてもらうと、驚くほど伝わるものに変わる。「ここは何が言いたいのか分からない」「この順番だと読みにくい」と率直に指摘してもらえたことで、初めて自分の文章の欠点が見えました。
自分の文章の分かりにくさは、自分では絶対に気づけません。 これは、やってみて痛感したことです。
これから受ける人へのアドバイス
もし今、経験記述で手が止まっている人がいたら、私はこう言います。
まず、なんでもいいから書いてください。文字数も気にしなくていいです。
経験記述で一文字も書けなくなる人は、たいてい最初から「正解の型」に合わせて書こうとしています。でも、それだと絶対に進みません。
順番はこうです。
- 自分が経験した工事を、好きなように書き殴る(型も文字数も無視)
- 文字数制限まで、自分なりに整形して絞る
- 客観的に、誰かに読んでもらう
- 率直なアドバイスを素直に受け止めて、整形し直す
- それを覚える
特に3と4です。自分ひとりで抱えないでください。 誰かに読んでもらって、遠慮なく指摘してもらう。そして、それを素直に受け入れる。ここが一番大事だと思っています。
誰に見てもらうか、という問題
ただ、ここで現実的な壁があります。
**「読んでもらえる相手が、身近にいるとは限らない」**ということです。
私の場合はたまたま組合の講座があって、そこで見てもらえました。でも、会社によっては講座の機会がないこともあります。周りに1級を持っている先輩がいない、いても忙しくて頼みにくい、というのはよくある話だと思います。
もし身近に頼れる人がいないなら、経験記述の添削をしてくれる通信講座を使うのは、合理的な選択だと思います。
私がやったことと、本質的には同じです。自分の経験を書いて、第三者に見てもらって、整形してもらう。それを外部のサービスでやるだけの話です。
筆記に関しては、正直お金をかける必要はないと思っています。過去問を回せば独学で受かります。でも、経験記述だけは、独学の限界がはっきりある。ここにだけリソースを集中させるのは、無駄のないやり方だと思います。 1級電気工事施工管理技士
資格を取って、実際に変わったこと
最後に、取ってどうだったかを正直に書いておきます。
変わったこと:
- 資格手当がつきました(給料に反映されました)
- 社内での見られ方が明らかに変わりました。32歳で社内に持っている人がいなかったこともあると思います
- 元請け会社からの見る目も変わりました。これは現場に出ていて実感しました
- 自信がつきました。そして、「この資格さえあれば、転職するとしても企業は欲しがる人材だ」という確信を持てました
変わらなかったこと:
- 任される仕事の範囲は、特に変わりませんでした
正直に書きますが、資格を取った瞬間に劇的に仕事内容が変わるかというと、そうでもありません。現場でやることは、基本的に同じです。
ただ、「いつでも動ける」という状態を手に入れたことの意味は、後から効いてきました。実際、私はその後この業界を離れて別の道に進みましたが、あのとき資格を取っておいてよかったと思っています。
資格は、今の職場での待遇だけじゃなく、この先の選択肢そのものを増やしてくれるものだと思っています。
まとめ
長くなったので、要点だけ。
- 筆記は独学で絶対に突破できる。過去問を10年分リピートすればいい
- 採点して弱点を可視化すると、効率が段違いに上がる
- 働きながらなら、朝の時間を使うのが現実的
- 経験記述の壁は、知識でも経験でもなく「言語化」
- まず好きに書いて、第三者に読んでもらって整形する
- 身近に読んでくれる人がいないなら、添削してくれる講座を使うのは合理的
これから受ける人の参考になれば嬉しいです。
※この記事は、私自身が1級電気施工管理技士を取得したときの経験をもとに書いています。特定を避けるため、会社名・団体名は伏せています。また、試験制度は改正されることがあるため、受験資格や試験内容の詳細は必ず公式の試験情報をご確認ください。


コメント